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Behind the
Toys
ベーシック・フィギュアには1995年から発売されたパワー・オブ・ザ・フォースから、現在のクローン・ウォーズ、
レガシー・コレクションに至るまで、数多くのバリエーションや、通常は市場に出回らないサンプルやプロトイタイプが
存在する。
今回はそれらのコレクションについて、スターウォーズ
アクション・フィギュア
データベース(ホビージャパン刊)や
海外のコレクションサイトに資料提供を行っている、コレクターのSさんに話を聞いてみた。
− まずはSさんのコレクションはベーシック・フィギュアのバリエーションやサンプル、プロトタイプがメインということでよろしい
でしょうか?
S:そうですね。基本的には3.5インチのベーシック・フィギュアのバリエーションとサンプルです。プロトタイプはカードにブリス
ターが圧着されているものは好きなんで集めてます。ルーズのプロトタイプはあまり好きじゃないです。ルーズで集めているのは本
当に販売されなかったものとかですね。製品化されなかったものはルーズで買うしかないので。
EU版ハン・ソロ・カーボナイトのカードにアクバー提督 ダース・ベイダーのプロトタイプ
のプロトタイプが圧着されているサンプル (画像提供:Sさん)
(画像提供:Sさん)
− コレクションを始めるきっかけは何でしたか?
S:きっかけは旧3部作公開時に当時のケナー製フィギュアで遊んでいたというところから、1995年のパワー・オブ・ザ・フォース
(以下、POTF2)の新ラインが出てきたというところでボチボチ集め始めたというところですね。それでバリエーションとかも
出てきたので盛り上がっちゃったという感じです。
− スターウォーズ(以下、SW)には様々なコレクション・アイテムが存在しますが、その中でベーシック・フィギュアのバリエーシ
ョンをコレクションする魅力とは何でしょうか?
S:最初はフィギュア・ブームですね。みんながロング・セイバーだとかショート・セイバーだとかのバリエーションを追いかけていた、
その辺からですね。結局、人が持っていないものを集めるという自己満足の世界だと思うんです。最初は流行りでみんなこぞってS
Wのフィギュアを買って、それでバリエーションを持ってると「スゲエぜ!」っていう風潮だったじゃないですか。そういうところ
で深みにはまっていったという感じですね。その後はだんだんバリエーションを追っていく人もいなくなって(笑)、今はほとんど
集めている人もいないから、資料集めというか半分義務みたいな感じで(笑)続けちゃっています。あとはバリエーションは常に追
っておかないと、現行品−まあオールドもそうですけど−は出た時に集めておかないと後から追い出すのが難しいんですね。それで
ずっとやり続けているというところですかね。
− 所有されているベーシック・フィギュアの数はどのくらいあるんですか?
S:そうですねー。POTF2からのベーシックだけで多分3千体くらいあります。
− それは通常品とバリエーションを合わせてですか?
S:そうです。1つのフィギュアで6つや7つのバリエーションがあったりするので、すごい数になります。
− 2006年のサーガ・コレクションのホロフィギュアのバリエーションも全て集められたんですか?
S:ホロフィギュアはキャラクター違いはやりきれなくて、色違いだけ全部集めたんですよ。サーガ・コレクションはホロフィギュアも
そうですが、最後の方でブリスターの底の部分のワーニング表記を黒いシールで隠してたりしたんです。それもブリスターの上から
隠していたり、中の紙に直接貼っていたり、印刷で黒くしていたりして、結構な数のバリエーションがあります。
− US版や日本版、カナダ版などの各国版は集めているんですか?
S:私は基本はUS版しか集めていません。日本でしかリリースされなかったものは日本版も買ってますけど、それ以外はUS版です。
最初の頃は各国版も集めていたんですけど、やりきれなくなったので。
− サンプルはどのくらい所有されているんですか?
S:サンプルだけだと100体くらいあります。サンプルも同じフィギュアで何種類も存在していて、別のキャラクターのカードに貼り
付けているものから始まって製品版に近いものまであって、その間にモールドの色が製品版と近いものでも違っていたり、初期のサ
ンプルとも違っていたり、サンプルを作る過程の中でいろいろ試しているんだなーというのが判ります。
メイス・ウィンドゥのカードにロット・ドッドのプロトタ
イプが圧着されているサンプル。ロット・ドッドはEP1
シリーズでは未発売
(画像提供:Sさん)
− それらのアイテムは全て展示されているんですか?
S:私は展示はしていないです。全て衣装ケースの中に保存しています。最初の頃は飾ってたんですけど、もう光に当てないようにしち
ゃおうと思って。気に入っているものはアクリルケースに入れて、紙に包んで、湿気にやられないように湿気取りを衣装ケースに入
れてます。夏は温度にやられないように、部屋の中はエアコン入れっぱなしですね。鑑賞するより状態を維持することに重点を置い
てます。あと途中で挫折しているんですけど、自分で持っているもののリストを作って、衣装ケースに番号を貼って、どの衣装ケー
スに何が入っているか判るように管理しています。でも本当は飾れれば飾りたいんですけどね(笑)。
− バリエーションやサンプル、プロトタイプはその存在を知ること自体が難しいと思いますが、特別な情報収集の仕方や入手方法があ
れば教えて下さい。
S:昔はショップもバリエーションに力をいれてやっていたので、そういったショップから買ったりしていました。あとはebayで出
てくるものをチェックしたり、ebayで同じセラーから買っている人と知り合いになったりとか。あとは香港のディーラーに知り
合いを作って、その人達から仕入れて集めたという感じですね。サンプルは存在自体が判らないじゃないですか。だからアメリカや
香港のディーラーから「こういうのがあるよ」と写真が送られてきて知ったり、昔はコレクター仲間同士で情報交換したりしてまし
たね。
− コレクションの中で苦労したり、奇跡的に入手できたアイテムのエピソードがあれば教えて下さい。
S:思い入れがあるのはPOTF2のダース・ベイダーのグレー・アーマーですね。あれはずっと欲しくて、1回ebayで出品されて
入札していたんですけど、その時は落札できなくて。余談ですが、その時に落札した人が日本人なんですよ。で、二番目に高値を入
札した人が別のディーラーから売り込みされて、グレー・アーマーを買ったんですね。しばらくその人が持っていたんですけど、私
がえらく気に入っているので譲ってもらえるという話になって、やっと入手できました。
ダース・ベイダーのグレー・アーマー。フィギュアの成形色がグレー(製品版はブラック)で、胸や肩のアーマーが未塗装
(画像提供:Sさん)
− ではグレー・アーマーは現在2体しか確認されていないということですか?
S:いや、もう少しあるんじゃないですかね。昔、グレー・アーマーで一番高値で2万ドル(約200万円)がついた時があって、オー
ストラリアの牧場を経営している大富豪が買ったという話を聞いたことがあります。あと私の知っているアメリカのディーラーが1
体持っているので、私の知っている限りでは少なくとも3体存在します。
− サンプルやプロトタイプにはフェイク(偽物)も多いと聞きますが、それらの見分け方や、フェイクを掴まされないために気をつけ
ていることはありますか?
S:こればっかりはもう信頼のおける相手からしか買わないということですね。あとはつぶさに見て、それで怪しかったらダメだし。
− 現在、探しているアイテムはありますか?
S:欲しいものだと、POTF2のオビ=ワンのショート・セイバー・ロング・トレイですね。あとはパワー・オブ・ザ・ジェダイのル
ーク・Xウィングで製品版と顔が違うサンプルがあるんですよ。サンプルの時ってちょっと変な顔なんです。私の仲のいいアメリカ
人が持っていて、ずっと売ってくれって言ってるんですけどダメです(笑)。あとはエクスパンデッド・ユニバースの初期のカード
のものですね。あのシリーズの製品版はカードナンバーがいきなり「03」から始まっていて、その前の「01」とか「02」のカ
ードナンバーのサンプルが結構存在するんです。私も何体か持っているんですけど、ロゴの大きさとか結構違いがあります。
オビ=ワン・ケノービのショート・セイバー・ロング エクスパンデッド・ユニバースのスローン大提督のサンプル。「Expanded
Universe」のロゴが製品版より
・トレイ。ロング・セイバー用のインナー・ブリスタ も大きい。カード・ナンバーは00になっている。製品版は03のみ
ーにショート・セイバーが入っているバリエーション (画像提供:Sさん)
− お話を聞いていると、以前リリースされたものも探さなくてはならないし、これからリリースされるものも追っていかなくてはなら
ないので、相当大変ですね。常にアンテナを張っていなければいけないというか。
S:だからebayとYahooオークションは毎日見ていますし、あとは海外の知り合いと「何かないか」と常に連絡を取り合ってい
ますね。最近はebayだとあまりバリエーションだといって出品していないんですよ。だから細かいバリエーションを探そうとす
ると、どうしても同じようなコレクションをしている人に頼まないと手に入らないですね。
− 最後にSさんにとってのSWの魅力とは何ですか?
S:SWの魅力ですかー。最初に映画館で初めて観たのが「ジェダイの復讐(帰還)」で、ジャバとかすごい好きになって(笑)。あと
ダース・ベイダーがルークと激しく戦って改心していくじゃないですか。そこで子供心ながらにどっぷりつかっちゃって。そこから
ジャバが欲しいだとか、ベイダーのフィギュアが欲しいとか、純粋に子供だから遊ぶためだけに欲しくって、それで東京都内のおも
ちゃ屋さんを巡ってみたりしてました。今考えるともったいないんだけど、(フィギュアを)すぐ開けて遊んでましたね。だからル
ーカスとケナーの戦略にまんまとはまった感じですね(笑)。
(2009年9月5日、恵比寿「Cantina」にて)